だけどここがきっと目指してた場所なんだ

Twitter代替用。どうでもいいことしか書かない予定。タイトルは飽きたら変えます。

現状のBlueskyの好きじゃないところ

  • 招待制がだるい。いつでも誰でも登録できるのがいい。
  • ログインしないと投稿が見えないのが厳しい。

結局自由度・オープン度が低いのが嫌な気がする。そのうち安定すれば変わるのかもしれないけど。

でもAT Protocolにはふつうに興味があります。

WEB+DB PRESS Vol.83でMarkdownについての記事を書きました

今週発売予定のWEB+DB PRESSに、「もっと知りたい! Markdown ついに標準化が始まった軽量記法」という原稿を書きました。WEB+DB PRESSに書くのは久しぶりです。

WEB+DB PRESS Vol.83

WEB+DB PRESS Vol.83

記事のタイトルと内容ですが、当初はMarkdownを使ってると何より気になるMarkdownの方言について、その現状と対策みたいなことを書こうとしたのでした。が、今回担当していただいた稲尾さんと相談しいろいろ書いてみて、そしていったん草稿がまとまった 後で Standard Markdown騒動が勃発してしまったため、全体を見直しつつ前後にその辺の事情を追加し、標準化話っぽくまとめてみました。まさか書き終えたタイミングでこんなちゃぶ台返しみたいな事件が起こるとは…という気分でしたが、タイミングとしてはちょうど良かったと言えるかも。

個人的にはMarkdownの差異についてはCommonMarkを中心にまとまってほしいと思っているので、CommonMarkには好意的な書き方になっています。人によっては、CommonMarkはMarkdownの新しい方言を付け加えてより混乱させるだけで「標準化」でもなんでもないしどうなのよ、という意見の人もいるでしょう。とはいえ、例えば本記事でも紹介しているJSのMarkdownエンジンであるMarkedの作者が「Markdown is broken」(https://github.com/chjj/marked/blob/master/doc/broken.md)みたいな、ついカッとなってMarkdownエンジンの不満をぶちまけたりしている文章を読んだりすると、たとえJohn Gruberにはやる気がないにしても、第三者の勝手案であれ標準案をまとめることの意義は大きいんではないかと思っています。もちろんその場合はMarkdownという名前を使うのはよろしくないので、現状のCommonMark案も落とし所としては悪くはないんでないかなあ、というスタンスです。

執筆は、最初は(当然ながら)Re:VIEWで書いて入稿用Markdownに変換していたのですが、最終的には直接Markdownを編集する方向に切り替えています。これは、「Markdownの記法についての説明をMarkdownで書く」だけでもエスケープ等で混乱しやすい上に、「Markdownの記法についての説明をMarkdownで書かれた原稿をRe:VIEWから生成する」という時点でMarkdownのエスケープとRe:VIEWのエスケープが混沌を極めたためです。軽量マークアップ言語はその辺りのケアが弱いものが多いので辛いですよね…。

また、執筆にあたっては、id:lost_and_foundさんとid:uasiさんに草稿を読んでいただき、ご指摘をいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。しかし二人に読んでもらった原稿はまだCommonMark話が入る前の段階だったので、あれからずいぶんと変わってしまったのでした…すみません。もちろん、誤り等があれば全て私の責任です。

とりあえず、Pandocでフィルタを書く話や、PandocのWriterがLuaで書ける話とかは今まで紙媒体では紹介されてないと思うので、それが書けたのは良かったです(後者は誌面の都合でだいぶ削れてしまいましたが…)。あと、でんでんマークダウンの記法について紙の書籍(ムックですが)で触れておきたかったというのもあります。JSではひそかにvue.jsを使ってみましたが、これは良いものですね。

最後に、原稿ではURLを脚注の形でばんばん書いてみており、編集時のどこかの段階で整理されるかなあと思っていたら最後までだいぶ残っていたので、クリックできない紙の代わりにURLのリストをこちらに転記しておきます。どうぞご利用ください。

書店別コンピュータ書売上冊数推移(2008〜2013)

毎年恒例のコンピュータ出版販売研究機構「コンピュータ書籍 書店別 売上ランキング」(2013年度)が公開されてました。

今年も1位はジュンク堂書店池袋本店でした。おめでとうございます!

気になったので過去分も合わせてグラフにしてみました。

f:id:takahashim:20140715225407p:plain

https://docs.google.com/spreadsheets/d/12BY8ka6frA3Qj07oxme59-zdRMJ4kKSq6rqp8swTQdE/edit?usp=sharing

2013年の上位11店に加えてジュンク堂書店新宿店をプロットしてます。2008年と2009年についてはベスト200のデータが見つからなかったので当時ベスト10に入っていなかったものはデータが抜けてたりします(ブックファースト新宿店とか)。

予想通りとはいえ、全体的に徐々に下がりつつあって残念な感じですが、増えてるところも若干ありそう。紀伊國屋書店新宿本店が2012年から伸びているのはジュンク堂の新宿店がこの年になくなってビックロになった影響もありそうですよね……。

これからどうなるんでしょうか。

電書幼年期の終り、あるいは電子書籍元年とは何だったのか

東京国際ブックフェア・電子出版EXPOとその某裏企画みたいなものに参加してきました。

最近の電子書籍を取り巻く環境を思いつつ、電子出版EXPOの会場の光景を眺めていると、「電子書籍の黎明期が終わった」、という少しばかり感慨深い思いがありました。

  • トッパンDNP、あるいは楽天Koboといった電子出版の大きなプレイヤーが電子出版EXPOにではなく東京国際ブックフェアに出展していた。「電子で読みたい人向け」ではなく「一般読者向け」の中に組み入れられていた(まあ単に土曜日にも出したかっただけかもですが)。
  • そのせいもあってか、電子出版EXPOが小さくなっていた。「ボイジャーの一人勝ち」という声もありましたが、確かに一人気を吐いて様々なイベントをやりつつ、Romancerという(ある意味でエキスパンドブックやT-Timeの初心に返ったかのような)プラットフォームを引っさげていたのは例外的で、あとはあまり去年と大きく変わってはいない、よくも悪くも「地に足の着いた」展示が多かった(メディアドゥは目立っていたけどそれはOverDriveScribdの海外サービス輸入業のせいで、これからどうなるかは未知数だったし)。
  • これは電子出版EXPOとは直接関係ないかもしれないけれど、数年前に会社を作ったりサービスを立ち上げたりしたものがこういうところに現れたりすることはついぞなかった。それ以前の問題として、そもそもサービスが終了していたり、会社自体がなくなっていたりしたのも少なくない。

そのような電子出版EXPOを見たり、某裏企画に参加したりしながら考えていたことは、「電子書籍元年」とは何だったのか、ということです。

2014年のこの時点から振り返ってみると、「電子書籍元年」というキャッチーな言葉は、結局のところ何か得体の知れない、よく分からないものとしての「電子書籍」に対する過大評価と過小評価のブレの産物だった、と言えるでしょう。紙の本がなくなるのか、あるいはケータイコミック+α程度の影響力で終わるのか。そして書籍を読む、書籍を作る、書籍を売るというビジネスと文化の形が大きく変わってしまうのか、それともそうでもないのか。その変化の帰趨の予測には幅があり、過度の期待と幻滅の間のどこかに現実的な未来があるはずだとはいえ、果たしてどこに着地することになるのか。その将来を予期することが困難だったため、余計に幻想が広がってしまったことが、ある種の「ブーム」を引き起こしてしまった。それが「電子書籍元年」を取り巻く状況だったように思います。

そしてなぜそれが「元年」と呼ばれていたのかというと、それが将来的には革命的な変化につながるはずの「始まり」であるのではないか、いや、始まりであって欲しい、という期待と願望が込められていたからだったのではないでしょうか。

しかしながら、「元年」と呼ぶに足るほどの革命的な変化のきっかけはあったのか? と尋ねられたならば、「そうでもないかも」と答えたくなってしまいます。どちらかというとRevolutionというよりもEvolutionと呼ぶ方が適切でしょう。確かに変わりつつはありますし、その変化の中には重要なものも含まれていると思われますが、今のところはまだ見慣れた世界の延長線上にあるように感じます。そして、「元年」と呼びたくなるような年があったのかどうかも、よく分からないところです(具体的な数値を補足しておくと、元年と言われ始めた2010年の電子書籍市場規模が約650億円、2013年が約936億円で、3年たっても約1.5倍にもなっていない程度です)。

ネットバブルと元年ブーム

私自身は、1990年代後半からずっとインターネット・Webを趣味でも仕事でも関わっていたので、物事を考えるときの基準がネットになっています。そんな私が今の電子書籍の状況に触れながら思い出すのは、ネット業界の90年代半ばから90年代の終わり頃までの時期です。このあたりが、電子書籍と同様の「よく分からないものに対する過大評価と過小評価」が入り乱れていた時期でありました。俗にいうインターネットバブル(ドットコムバブル)、ITバブルです。これが弾けるのが2000年から2001年ごろで、その後しばらくは「ネットは面白いけど金(ビジネス)にならないおもちゃ」的な評価になっていました。

今の電子書籍界隈の雰囲気も、このバブル直後のネットに通じるところがあります。ネットに比べると、電子書籍の方はブーム・バブル後のダメージがあまり大きくはないように見えますが、それはネットほど大きくバブルが膨らまなかったせいというのもあるでしょう。まあ、それ自体は悪いことではありません。

もちろん、当時のネットと同様、電子書籍も(大きな利益は生んでいないとしても)それなりに成長し、それなりに仕事も回るようにはなっています。元年があったかどうかはさておき、電子書籍の時代そのものは始まっています。

ネットの方も、バブルがはじけた後にブログのムーブメントが起こり、そこからソーシャルの動きが始まり、今の勢いにつながっています。そこで鍵となったのは、ネットならではのコンテンツ、エコシステムでした。結局のところ、ネットバブルの時期のネットは紙やTV、ラジオの代替物(にあんまりなりきれてない劣化版)でしかなかったのに対し、そこから速報性・携帯性・接続性などなどの独自の価値を見出し、その価値にフォーカスした新しいツールとユーザが揃った辺りから、本格的なネットの時代がやってきたのでした。電子書籍の方も、その独自のコンテンツと価値が見出され(あるいは見直され)、その本格的な普及期が訪れるのはこれからなのではないでしょうか。

これからの電子書籍の新たな動きに期待しつつ、そこに私自身も関わっていければ、と思っています。

はてなブログはじめました

「はい、娘です」とわたしは言う。「わたしの娘」

その時点で、あなたは二十五歳になっているでしょう。

テッド・チャン『あなたの人生の物語』より)

ついにブログというか、はてダのリニューアルですか。なかなか感慨深いですね。